Xavier Léon-Dufour Died
グサヴィア・レオン-デュフルが死んだ
「死んだ」とはなにごとかと叱られるかもしれないが、私にとっては「今死んだのか」と不思議な気持ちだ。いや、実に恥ずべき不明なことであるが、1912年生まれの彼が今の今まで生きているとは思わなかった。Times 紙の訃報は一月以上経ってからのことだった。
ローマカトリックの学者(神学者、聖書学者、歴史家)の中では進歩派からも保守主義者からも誤解されたが、そのどちらでもなかった。当時は、ドイツプロテスタントの自由主義的流儀が何もかも「悪」と見られた第二ヴァチカン以前のカトリックという陣営において、正しくその新しい流儀の是非を判断していた数少ない学者の一人だろう。
昨年出版した拙著のテーマ(復活と空の墓)に関すれば、彼の著作の中では Résurrection de Jésus et message pascal が有名だが、拙著においては、実は脚注で彼の名前を挙げるに留まった。最近の研究に焦点を当てた拙著では古すぎるという理由で詳論を避けたのだが、「空の墓」の伝承に、何らかの史実を含む要素があると見抜いていた人だ。
カトリックの学者は奥が深い。写真に見るように、おとなしそうな柔和な顔なのに、若いときはリベラルとか言われて苛められたのだろうね。逆に、「空の墓」伝承に史実的要素を見つけると、その結論だけで保守派だとか言われる。どちらからも誤解されながら、信念の学者であり信仰のキリスト者だったようだ。