Dr. Pearson's Gnosticism Research Revisited
ピアスン博士のグノーシス主義研究再訪
せっかくの素晴らしい天気の土曜日、風邪のためベッドでごろごろして過ごした。明日は大丈夫だろうか。
先に紹介した Birger Albert Pearson の新著 Ancient Gnosticism: Tradition and Literature を今日やっと注文した。実は、図書館にすぐ入るだろうと思っていたが、2か月経っても入らないので、やはり自分で買うことにした。この新刊は、書評を見ても資料的価値が取り上げられているが、彼の所論には触れられていないので確認したいことがあるからだ。
ピアスンはグノーシス主義と日本語で訳されている Gnosticism を、どちらかというと「グノーシス教」と捉えている人だ。Walter Bauer (注意:シュヴァイツァーが批判した Bruno Bauer とは別人)の流れにある Bart D. Ehrman などとは視点が少し違う。つまり、日本の学者などもそうだが、大方の理解であるグノーシスが初期キリスト教に影響を与えたという理解を取らない。そうではなく、ピアスンは、「グノーシス教」はプラトニズムなどの哲学的思考や世界観をもつ独自の宗教であり、キリスト教出現以前からユダヤ教その他に「寄生する」傾向があり、キリスト教もこのパラサイトに一時的にとりつかれたにすぎないと基本的には見ている。アレクサンドリアのユダヤ教とグノーシスの関係についても同様で、Moritz Friedländer の議論に30年以上も前に反対している。
以上のピアスンの論考は、1990年にGnosticism, Judaism, and Egyptian Christianity にまとめられた。この本は図書館のものを読んだだけだったが、今回の彼の新刊を注文する際、20ドルでペーパーバックになっているのを見つけた。これも注文すると送料が只になるので同時注文した。自分で持っていると何かと便利なのでそうしたのだが、ついでに、例のケンちゃんの本も見てみた。まだ、売っている。しかし、その書評を見て大笑い。まず、最初の書評者は "intentionally unhistorical" つまり冗談だということだし、次の書評は "lost of good stuff but some annoying errors" すなわち素人の出鱈目本だと! こんな本買わないで、ピアスン先生でも買いな、日本のミッション系大学図書館!!
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何じゃこりゃー。内田樹氏の『他者と死者』を開いた。副題が「ラカンによるレヴィナス」という本だ。いきなり、初めからレヴィナスを読んでわかる人は「もちろんこのような初心者向け解説書を手に取るはずもない」と書いてあるではないか。こんなの知ってたら買わんかったっつーの。まあ、この人はブログもそうだが、こういう言い方で遊んでいるだけだろうから、明日熱がなかったら読んだるわ。しかし、この副題も自分のこととことさら言わず、「ラカンによる」だし、ユダヤについては「私家版」なんて付けて、それ違うじゃないの、と言われたときのために逃げをうっている。こういうのはよくないなー。まだ入手していないが、ユダヤについて何も知らない日本人を騙しているような本かどうか見てみましょう。
上記の写真は昨日の Simchat Torah のお祭に近所のシナゴーグに集まってきた人々。みんな楽しそう。