Dr. Waterman's Desk

An old desk of an American theologian ("日本語" speaker) / Check out another blog please "Comments by Dr Marks"

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American citizen but a foreign native born in southern Germany, raised in northern Japan. He holds a Ph.D. degree in biblical theology (Center for Advanced Theological Studies, Fuller Theological Seminary). Dr. Waterman mainly lives in Los Angeles, California. He studied various subjects (philosophy, sociology, etc.) and languages in Japan and in America (Hirosaki University, University of Tokyo, Fuller Theological Seminary, and other institutions). Email: markwaterman(at)fuller(dot)edu. Some call him "Dr. Marks".

Monday, October 16, 2006

Quick Responses to the Recent Comments

コメントありがとうございます。48時間以上チェックしていなかったのでリリース自体遅れてすみません。対話集みたいになっていますが、新しい訪問者もありますので、それはそれで構わないと思っています。順番通りに簡単ですが、

トマス再び(Sig. Agalma 最新コメント参照)

いつも丁寧な引用のお陰で、その論文見ましたよ。多分、自分の講義ノートをもとに学内誌に載せたのでしょうが、その分よくまとまっていると感心しました。この方のサイトも見ました。博士論文はまだのようですが、そのうち出すのでしょう。真理(veritas)論が専門らしく、アメリカでの楽しそうな遊学(?)の写真も見ました。ご家族を置いての二重生活はたいへんだったでしょうね。

この上枝美典氏の論文の後半の部分ですが、トマスは確かに、人間が頭で神が存在すると「信じる」ことと、神が実際に実在するを「証明する」ことは別だと考えました。その通りです。

当時の普遍論争(個別とは別な「類や種」の存在に関する中世の論争)に即して言えば、アンセルムスは universalia ante rem (事物より前に普遍、rem は res [物]の sg. acc.)と考えるのに対し、トマスは universalia in rebus (事物の中にある普遍、rebus は res の pl. abl.) と考えたのだと思います。

つまり、信仰者にとっては、神は知性のうちに存在して、また事物・事象(res)にも存在することになるのであるが、信仰のない者に、神の存在を自明なものと前提して論証しても意味がないというのがトマスです。心の神は、信仰者にとって realistic であっても、信仰のない者には real ではないというのが、トマスの考えでしょう。

トマス的な人は、実存主義的な信仰でなく、限りある(というかほとんどゼロに近い)人間の知性でやれるだけやってみようとする人たちだと思います。永遠不滅の神の存在証明という、面倒くさくて古臭いテーマより、2000年前の状況を具体的に漁るのが好きなのがトマス的、アリストテレス的な人かもしれません。

ところで上枝氏の面白そうな真理論ですが、Husserl の Catrtesianische Meditationen [デカルト的省察]の末尾の文章を思い出しました。若いときに読んだので諳んじています。アウグスティヌスからの引用です。 Noli foras ire, in te [ipsum] redi; in interiore homine habitat veritas. (外に行かず、汝自身に帰れ。真理は人の内にある。発音はローマ字通り、最後だけヴェリタスと濁らず、ウェリタスと読む。)アウグスティヌスはプラトン的だもんね。

でもフッサールはその中間。おいらも、フッサール的になろうかな。

付録: 

上枝氏の論文の中に出てきたKalam cosmological arguments の William Lane Craig という人はちょっと面白いというか変な人で、碌な教職には就かず研究を続けています。最近の宗教哲学概論などでは必ずと言っていいほど言及されることが多くなっています。私自身は、彼の近代主義的な傾向が好きではないのですが、現代の護教家と言われるほど、キリスト教の理論的ディフェンスに熱心な人です。イギリスでは、有名な John Hick の許で哲学で博士号を、ドイツでは、これまた有名な Wolfhart Pannenberg の許で神学で博士号を取っています。まあ、ともかく勉強好き。理論物理学者とだって論争しちゃうんだもんね。彼のウェッブサイトは www.leaderu.com/offices/billcraig です。

もっとも最近の出来事は、前に名前を挙げたことのある新約学者 Bruce M. Metzger の弟子、 Bert D. Ehrman との復活論争です。ちょっとネットで Craig と Erhman と入れてみると幾つか出てくると思います。私自身は、面白くもない論争と考えるのですが、面白いと思う人も多いと思います。

この Ehrman という禿の小父さんは(めっ、人の身体的なことを言っちゃいけない。でも可愛いから。)、これも前に名前を度々挙げた Walter Bauer に今でも心酔している人です。Ehrman は原始キリスト教時代の講義をDVDにして売っていて、なかなか講義も上手です。親分 Metzger と一緒に編集している New Testament Tools and Studies というシリーズは、学生だけでなく、我々にも最初のとっかりとして便利な how-to ものです。このシリーズの19巻目が "Studying the Historical Jesus"。ただし、今から十年前までの状況です。

その後の史的イエスの how-to ものとしては、Sources for Biblical and Theological Study シリーズの10巻目 "The Historical Jesus in Recent Research" などがありますが、こういったものを読んでいく中で、更に自動的に新しい文献に行き着くでしょう。


Suk(k)ot (参照)

仮庵の祭りの打上げですね。もうそろそろ砂漠放浪遊びも飽きるから、シナゴーグに集まって「お疲れ様ー♪」。


Where Were You?  (参照)

流石に最後の醜聞を知っていらっしゃる。馬鹿息子を持つと大変ですね。(そういえば、私も馬鹿息子だ。)

モンロー主義を反省したアメリカは、連盟(League)のときとは変わって国連(UN)に積極的に参加しています。しかし、連盟を閉じ、国連を新たに設立した世界の国々の反省は、制裁権をしっかり持たなければ、国際組織は役に立たないということでした。しかし、今ではその反省はどうでしょうか。あの阿軟事務総長は、6か国協議よりも米ー北朝会談をなどと、どこかの不良と同じことを言うノータリンです。 それに、そいつに名誉学位などというトーダイもわかりません。私もノータリンらしいから、誰か教えてください。

アメリカのタカ派の一部は、日本とアメリカが金銭的負担するばかりで、役立たずの国連などいらぬと言いますが、私は国連のそれなりの意義は認めています。ともかく、皆が一堂に会せる場があるだけでもいい。ただし、それを食い物にするような小役人根性の人はいりません。こんどの韓国の方に期待します。なにしろ、国連の事務総長は単なる事務屋ではなく、総理大臣くらいの独立した権限があるのですから。

それにしても、アメリカは宗教を盾に云々という「神話」は根深いのですね。マスコミのせいだなあー。アメリカ国内でも、ABC放送なんかはそんなことばっかりだからなあー。KTLAのHal Fishman のような人を知っててくれたらなあー。(KTLAはLos Angeles の地方局。Hal Fishman は元UCLAの政治学者で、何十年もKTLAのキャスター兼コメンテーター兼エディター。彼の髪は鬘で、ホントは禿なことはみんな知っている。毎晩10時のニュースと彼のコメントは大好きだ。今、十時5分前、テレビをつけるので今日はここまで。)