It Doesn't Mean a Thing to Me
俺には何んの役にも立たん
今日の一発捨て台詞。まあ、この説明をする前に今日の1日をごく簡単述べる。明日のレジュメも読んでいないし、簡単にさせていただく。
朝はフラーの同窓会に出て15ドルの朝食を座って食べる。この学校は特殊な学校で、三つの大学院があるだけの戦後新設のもともとは神学校だ。西海岸ではUCLAの医学部なども戦後なので戦後の学校が60年後には大した成長をしているのも珍しくない。何しろ、今ではLAはアメリカ第二の都市で第一になる日も近いし、今滞在しているSDでさえ全米七位の都市だ。従って、現在のところ、神学大学院の全てのプログラムを足すと世界最大の学校に発展している。初めは長老派の学校だったので西海岸のプリンストン神学校などと言われたが、近いうちに東海岸のフラーなどとプリンストン神学校が呼ばれるようになるだろう(←嘘、もちろん冗談で、今朝学長がそんな戯言を言っていた)。
まだまだ名声ではプリンストンにかなうわけはない。しかし、確かにアイヴィーリーグから進学してくる者は多くなった。強みは教員も学生も右から左まで誰でも受け入れるということだ。しかも、州立大学よりも安い学費で諸外国の留学生を受け入れているし、優秀な学生には奨学金が用意されている。有名になって拡大した理由もここにある。アイヴィーリーグには絶対いるはずのないファンダメンタリスト的神学者もいるが、アイヴィーリーグでも珍しい自由主義神学者も同居していて、学生に幅広い知見と体験を提供している。教員は全て研究と出版が可能な学位の所有者で、ヨーロッパやアジアからも招聘されている。
学校自慢はこのくらいにしておく。食事も早々に、マルコ伝のグループに参加した。ケンブリッジの Peter Head のシナイ写本は面白かった。スライドで現物を投影して説明するのでわかりやすい。彼とは後で Mark Goodacre の出るQグループで左隣の席となった。私と同じでアレルギーで時折咳き込むからかわいそう。実は、このとき右隣に年配の先生が座ったが(←名前は伏せるというよりわからなかった)、彼の捨て台詞なのだ。グッドエイカーの初めの発表が終わって二人目の発表がすむと、It does't mean a thing! とこちらに同意を求めるかのようにつぶやいて去っていった。日本語の意味? 実はわからない。二つの場合があるからだ。一つ目、「こんなくだらないものはゴミだ、役に立たん」。二つ目、「私には難しすぎて役に立たん」。
多分、初めの意味であろうが、後の意味の可能性もある。Q 問題は、現在かなりスコラ的様相を呈し、つい先ほど紹介した僧正職を辞めてしまった Michael Goulder のマルコ-マタイ説もあるしクレアモントのマクドナルド親父のQ+説もあるし、グッドエイカーのマルコ-Q重なり説もあるし、Q がマルコの元などという珍説もあって、まさにごちゃごちゃである。ここでもマクドナルドは大きな顔と大きな声で主人公になってしまうので、会場からお前もパネリストの壇上に上れと野次が飛ぶ。すぐ側に座ったロビンソン爺さんは初めから終わりまで何も言わなかった。賢い。思えば、Qに関しても、彼の次の世代がマクドナルドで、そのまた次の世代がグッドエイカーである。時代と学問は進んでいる。従って、私にそっと捨て台詞を残して去った老学者には理解できない内容だったのかもしれない。そして、彼は、神妙に耳は傾けているが、この私も理解できない同類と看破して、「ご同輩、こんなわけのわからんのは役に立たんよ」といってくれたのかもしれない。だって、まさしく当たりだもん。結構、私にゃわからんところが多かった。
何んという偶然! デュークの Richard Jaffe 教授に会った。上記のQの部屋を前の時間帯に使っていたのがジャフィー先生だ。三つの大会場にそれぞれ数え切れないほどの部屋がある中での偶然的符合。
十年以上会っていなかったがお互いにわかった。大昔の東京時代の付き合いだ。彼は仏教研究者、私はキリスト教研究者。それでも気は合った。彼は帰ったら私に会ったことを奥さんにも話すといっていた。(待てよ、奥さんには会ったことはない。つまり、お噂はかねがねということで、奥さんに私の話はしていたのだ。この奥さんは東京で見つけたのだが、同じくユダヤ系のはず。)お互いに忙しく、正味数分の再会。名刺を渡して、4年後サンフランシスコ合同大会での再会を約した。人間の付き合いなど一期一会と思えば、数分でも再会できるのは奇跡的なことだ。ウェッブサイトで髪の毛が薄くなったのは知っていたが、ますます薄くなっていた。