Dr. Waterman's Desk

An old desk of an American theologian ("日本語" speaker) / Check out another blog please "Comments by Dr Marks"

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American citizen but a foreign native born in southern Germany, raised in northern Japan. He holds a Ph.D. degree in biblical theology (Center for Advanced Theological Studies, Fuller Theological Seminary). Dr. Waterman mainly lives in Los Angeles, California. He studied various subjects (philosophy, sociology, etc.) and languages in Japan and in America (Hirosaki University, University of Tokyo, Fuller Theological Seminary, and other institutions). Email: markwaterman(at)fuller(dot)edu. Some call him "Dr. Marks".

Thursday, July 19, 2007

Sarcophagus and Ossuary

棺と骨壷の話

以下のことはあがるまさんへの回答ですが、少し長くなったし、記事としても皆様の参考になるかと思いレスではなくメインエントリーとしました。なお、あがるまさんの質問は前回のエントリーの終りのほう(11番目)のコメントを見てください。

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あがるまさん

まず limestone ですが、エルサレム近辺でもざらにある石で細工が楽な石です。化学式は CaCo3 ですが、骨の「保存」には都合のよいものです。酸と水が混じらない限り骨は溶けないからです。従って、骨壷(英 ossuary = ラ ossuarium、os = 骨)にはライムストーンが使われています。大きさは一番長い大腿骨が入る長さで、頭蓋骨が入る高さと幅です。ただし、一つの骨壷に二人以上の骨がまとめていれられることもあります。

次に、sarcophagus ですが、σαρξ+φαγειν = flesh+eat すなわち「肉を食う物」であり、骨は食いません。ただし、サーコーファガスとは単なる「棺」という意味にすぎず、材質はライムストーンとは限りません。

確かに、ライムピッチに死体を漬けておけば肉は早く清潔に(!)溶けるかもしれませんが、サーコーファガスの材質はライムストーンとは限らないのです。その他の石、木、金属などどんな材質でもサーコーファガスですから、石の棺というときは litho-sarcophagus(ライソ・サーコーファガス)というのが正確な表現なのでしょう。

クロッサンだけではないのですが(例えば Sawicki)、クロッサンはそのことを Jesus とか Who Killed Jesus? という本の中で書きました。多分、今は書いたことを後悔していると思います。近頃は言いませんし。

ユダヤ教の規定の中では、都市や都市近郊で死体を露出していたことはありません。日没前に大急ぎでイエスを含めた3人の死体が十字架から取り下ろされたことでもわかるでしょう。また、犬がその骨でもくわえて街中に歩いて来たら困るでしょう。その犬にも骨にも触った人は穢れますから、しばらく外にも出られなくなりますよ。

骨壷の話に戻りますが、そしてイエスの埋葬とも関連しますが、普通死体は布に包まれ香を施されて岩穴の墓所の台に安置されます。1年後、肉は腐敗して枯れた骨だけになりますので、その骨を骨壷に入れました。これを第二埋葬と言います。日本の奄美でも洗骨(文字通り骨を洗う)して再度埋葬し直す習慣があるそうです。

しかし、不思議なことに、パレスチナでの骨壷に入れる習慣は、イエスの時代を含めてごく短いものでした。間もなく廃れたようです。理由はわかりません。なお、これが行われた時代は紀元前40年頃から紀元後135年位とされています。

イエスの墓の様子は、聖書に書かれていることくらいしか想像するのは難しいでしょう。岩を掘った墓には違いないでしょうが、その入り口の覆いは溝の中を転がす岩ではなく、瓶のコルクのように押し込んで覆うのだとか、実にさまざまな説はありますが……。この辺りで今日は終り。

4 Comments:

Anonymous Anonymous said...

ラテン語の辞書でlapis sarcophagusを引くと、Assosで産出される石灰石で、死体を早く灰にするので棺桶に使はれた。プリニウスに出て来るとあります。

はじめは特別な石の名称で、それから転用されて『棺桶』の意味に使はれ始めたので、エヂプトなどの木製の棺桶をさう呼ぶのは便宜上のことだつたのでせう。
矢張り石棺は地中に埋められるのではなく地上に置かれるもののやうで、使用法からして違ふやうに思ひます。

石灰石は堆積岩か水成岩で、海から近いエルサレムの付近が海底から隆起したものならその可能性もあるでせうが、近くに石灰岩の山や鍾乳洞があるのでせうか?
イエスが葬られた洞穴は火山性の凝灰岩の可能性の方が高いと思へます。

何でも直に乾燥してしまふ、この辺の住民が死者を汚れたものと思つたのでせうか?そんなのは日本だけの習慣だと思つてゐたのですが。

10:51 AM  
Blogger Mark Waterman said...

あがるまさん

石の棺は、基本的にはその中のミイラあるいは骨を保管するためのものですから、地上でなくても、飾りつきの場合は墓室にそのまま、あるいは飾り布などを掛けて安置するものです。せっかく石の棺にしたのに土に埋めることはあまりありません。

ライムストーンは水と酸があれば溶けますので、パレスチナにも鍾乳洞(Karst型)はあります。また、鍾乳洞ではありませんが、catacomb が沢山あります。墓地ということだけではなく、またクリスチャンといいうことではなく、ユダヤ人たちがエルサレムを追われた70年以降は、そのような catacomb で議会を召集していました。随分大きい物もあり、Beth Shearim などが有名です。

死体が穢れているという記述は旧約聖書やユダヤ教文書にたくさんあります。例えば、レビ記11章を見てください。なお、枯れ骨は大丈夫です。(肉片が付いた生の骨は死体。)

MWW

12:01 PM  
Anonymous Anonymous said...

無理がありさうですが
ユダヤ人は例外である!と云つたらどうでせうか?
少なくともヘレニズム時代以降はユダヤ人は独自の習慣を頑なに持ち、今の日本人や米国人のやうに世界中から嫌悪されてゐました。
それにレビ記は全く特殊な習慣(それも僧侶階級の)を記したものでせう。

catacombの語源を知りませんが
『地下にもぐつて仲間で暮らすと』云ふニュアンスがあるやうな気がします。
tuffとlimestoneの違ひも分りませんが、
水分の多い石灰岩の洞窟では、死体を早く分解すると云ふsarcophagusの役目は期待出来ないでせう。

12:55 PM  
Blogger Mark Waterman said...

あがるまさん

今度の質問というかコメントには返事の仕様がないのですが、catacomb の語源ですか。

正解は、誰もわからない、です。

しかし、ごく一部の私たちのうちでは、やはりギリシア語語源で κατα κυμβας 文字通りには down into the vessel のことではないかと思っています。このキュムバスとか英語のヴェッセルはなかなか適当な日本語がありません。壜状の空間のことです。ニュアンスは自分で辞書を引いてください。

Mark W. Waterman, Ph.D.

10:45 PM  

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