Let Alone Preservation -- What's New . . .?
放置保存 - 何か…?
やれやれこれで蕩尽亭先生に次いで2回目だ。日本のブロッグに遊びに行き始めてから(細君に「勉強しなさい!」と叱られているが)止せばいいのに、あちらにコメントこちらにコメント。するとコメントのほうが長すぎて受け付けてもらえない。仕方がないのでまたこのブロッグのエントリーとする。
今回のブロッグは京都の佐藤啓介という新しく博士になられた先生で、現代フランス宗教哲学などがご専門とのことです。以下のブロッグURLで 2007 年5月6日の記事に対するコメントです。余計なことを書かず、そのまま載せます。(http://blogs.dion.ne.jp/pensiero/参照)
上記に対するMWWのコメント
多分、それは佐藤さんの考えているようなものではないかもしれません。佐藤さんが見た具体的な文献の前後がわかりませんので確かとは言えないにしろ、佐藤さんご自身の説明から推定するのですが、実は放置保存は考古保存(大袈裟なことを言わずとも図書館の本の再製本など)には当たり前のことで、何か専門の事典にも載るような technical term でもないでしょう。
「放置保存」の英訳、独訳、仏訳等は何ですか。ネット上では、中国語文献にそのものずばり「放置保存」ありましたので、以下にURLを書きますが、先のコメントの例文二つは以下のURLの内容の一部です。これらはいずれもアメリカの実例です。
ニューメキシコ州の石像保存(当たり前の話として)http://nmbea.org/Information/Historic_Preservation/
Restoration_of_a_Multipiece_Outdoor_Sculpture/index.html
現代的な思想で問題点が多い(周辺住民を巻き込む話として)http://www.historiccharleston.org/preservation/why_philosophy.html
音楽メディアの「放置保存」(具体的な技術の話)
http://www.jhcz.cn/tt/changpian.htm
佐藤さんの期待するものとしては、新たに加えたレコードの保存法(三つ目のURL)が具体的と言えば具体的ですが、アテネの建造物でも(自分の専門から言えば)エルサレムの聖墳墓教会の石室保存も放置保存の方針(philosophy)でそのつど専門家(しばしば学者ではなく職人!!)のアイディアと機転でなされるもので鋳型(cast iron)に放り込んでハイ出来上がりというものではないでしょう。放置保存の実例をと言われれば、すべての考古物は放置保存されているわけですから、一々個々の例を記せば膨大なものになります。(なんとなく文献上で答を待つ話ではありません。)
わたしもどちらかというと文献屋で、フィールドのことはあまり言えません。日本史のことも知りません。しかし、近頃は本来の神学基礎論の分野から離れて古文書(MSs)と古代史(考古学を含む)からキリスト教の起源をテーマにしており、副専攻ながら歴史学方法論の正規の大学院教育も受けているので申し上げたのですが、私自身、他の専門家の意見もどうかと期待していることは同様です。
(誰か早く答えなさい。)
Mark W. Waterman, Ph.D.
2 Comments:
単純な感想です、
例へばスペインやトルコのローマ遺跡はイタリアやギリシアよりもよく整備されてゐるやうに感じました。
或るイタリア人にそのことを云つた時に、彼も(その方面のことを学んでゐた訳でもないのでイタリアの常識として受け取りましたが)修復には、技術上も、外観上も問題があり、現状のまま(残すの)が好いのだと云ひました。
日本のヴァチカンの修復も逆に文化を破壊する行為だと思はれたやうです。
慥かに修復された絵画は何だか有り難味がなくなり薄つぺらになつたやうな気がします。
パリのやうに街中の古い建物を洗ふのは賛成ですが。自然の外気に晒されてゐるままの遺跡を保存するにはどうしたら良いのでせうか。考古学公園として残すか、アテネのアゴラのやうにその地区を買ひ占めたり、デルフィのやうに村全体を移動させて発掘するのが理想でせうか?
バッサイのアポロ神殿のやうに、全体をシートで覆ふのも耶無を得ないのかも知れません(実際何のために覆はれてゐたのか知りませんが)。
あがるまさん
そうですか。日本のようにカビが生えやすい気候でないのがいいのでしょうが、安っぽく修復したものは興ざめですね。
先日紹介した聖カテリーナ修道院の一番古いペテロのイコンは、イコン破壊時代にそうなったのかどうか知りませんが、縁が四辺ともぼろぼろでした。それをガラス枠や額に入れたりせず、そのまま展示していたのが印象的でした。修理もしないようです。
あがるまさん、それにしてもうらやましい。僕もあちこち行きたいなー。
MWW
Post a Comment
Subscribe to Post Comments [Atom]
<< Home